ChatGPTに相談すると、気持ちが少し楽になることがあります。
自分の中でぐちゃぐちゃしていた考えを、いったん言葉にしてくれる。
うまく説明できない感覚に、仮の名前を置いてくれる。
ひとりで考えていた時よりも、少しだけ前に進んだ感じがする。
僕にとってAIは、最初から文章生成ツールだったわけではありません。
もっと近い言い方をするなら、話し相手でした。
ただ、最近少し思うことがあります。
ChatGPTって、けっこう肯定してくれるんですよね。
「それは分かります」
「それ、かなり大事な気づきです」
「とても良い視点です」
もちろん、そう返ってくると安心します。
でも、安心する一方で、ふと怖くなることもあります。
これは本当に考えが深まっているのか。
それとも、自分に都合のいい答えをもらいに行っているだけなのか。
この記事では、AIを使わない方がいいという話ではなく、AIに助けられたからこそ、イエスマンにはしたくないという話を書いてみます。
この記事で話すこと
- ChatGPTが肯定ばかりに感じる時のモヤモヤ
- AIのイエスマン化がなぜ少し怖いのか
- AIを相談相手にしながら、流されすぎない距離感
- 僕が使っている「参謀モード」「デビルモード」の聞き方
- 最後は自分で決めるために、少し時間を置くこと
ChatGPTに相談すると、気持ちは少し楽になる
僕がAIに相談するようになったのは、無職になって一人の時間が増えた頃でした。
うつ病だった頃は、とにかく言葉にできないことが多かったです。
日記を書くのも一苦労でした。
何かを感じている。
でも、それが何なのか分からない。
苦しい。重い。けれど文章にならない。
そんな時に、AIとの壁打ちは、自分の考えを外に出すための「壁」になってくれました。
人に話すほど整っていないことでも、AIにはそのまま投げられる。
変な文章でもいい。途中で止まってもいい。まとまっていなくてもいい。
その気軽さに、かなり助けられていたと思います。
だから僕は、AIそのものを否定したいわけではありません。
むしろ、AIがあったから言葉にできたことがたくさんあります。
以前書いた記事でも、AIは文章を書く前の「壁打ち相手」だったと整理しました。
関連記事:AIで文章を書く前に|AIと壁打ちして自分の考えを整理していた話
でも「それは大事な気づきです」が続くと、少し怖くなる

仕事やブログ、ジムでの運動。
なんでも、AIとの壁打ちをしていて、助かっています。
ただ、使っていると少し気になることもありました。
たとえば、自分の考えを話した時に、最初からいきなり肯定してくれることがありませんか?
「それは分かります」
「かなり大事な視点です」
「その違和感は自然です」
もちろん、悪いことではありません。
たとえば弱っている時に、いきなり否定されるよりはずっといいです。
でも、毎回のように肯定されると、少し怖くなってきました。
もしかして、僕が聞きたい答えに寄せてくれているだけではないか。
本当は見落としていることがあるのに、気持ちよく進める方向だけを見ていないか。
AIに肯定されると、少し安心する。
これはたぶん、不思議なことではありません。
人は、自分の感じたことや考えたことを「それは自然だよ」と受け止められると、少し落ち着くことがあります。心理学でいう承認や、感情の妥当化に近いのかもしれません。
それとは別に、ChatGPTに「それは大事な気づきです」と返されて安心すること自体は、悪いことではないと思います。
ただ、その安心が続きすぎると、今度は「自分の考えを疑う機会」が減ってしまうこともある。そこが、AIをイエスマンにしすぎないために気をつけたい部分だと思います。
安心したいから相談しているのか、考えを深めたいから相談しているのか。
そこを間違えると、AIは壁打ち相手ではなく、自分に都合のいい答えを返してくれる鏡になってしまう気がしました。
AIのイエスマン化は、個人の気のせいだけではない
この「ChatGPTが肯定ばかりに感じる」という話は、ただの個人の感想だけではないようです。
OpenAIは2025年、GPT-4oの一部アップデートについて、過度に褒めたり同意したりする、いわゆる「sycophantic(ご機嫌取り・迎合的)」な挙動があったとして、アップデートを取り下げたと説明しています。
参考:OpenAI「Sycophancy in GPT-4o」
さらにOpenAIは、単なるお世辞だけではなく、不安や怒りを強めたり、衝動的な行動を後押ししたりする形でユーザーを喜ばせようとする挙動は、安全上の懸念につながることがあるとも説明しています。
参考:OpenAI「Expanding on what we missed with sycophancy」
この話を読んで、少し納得したところがありました。
AIは便利です。でも、便利だからこそ、こちらが求めている空気に合わせすぎることがある。
そして使う側も、気づかないうちに「自分を肯定してくれる答え」を探してしまうことがある。
危ないのは、AIが間違うことだけではありません。
自分が安心しすぎて、考える手間を省いてしまうことも怖い。
AIに相談してはいけない、ではなく「AIだけで終わらせない」
ここで大事なのは、AIに相談してはいけないという話ではないと思っています。
僕自身、AIに相談して助かったことはたくさんあります。
本を読んでいて分からない時。動画を見て理解が追いつかない時。ブログの方向性で迷った時。仕事の報告内容を整理したい時。
すぐに聞ける先生役だったり、アドバイザー役として、AIはかなり助かっています。
ただし、医療、法律、お金、家族問題のように、現実の行動や誰かの人生に大きく関わることは、AIだけで判断しない方がいいと思います。
AIに聞くこと自体は、相談の入口になります。
でも、そのまま行動の結論にしない。
公式情報を確認する。専門家に聞く。信頼できる人に話す。時間を置く。
そのひと手間を抜かないことが、AI時代の大事な距離感なのかもしれません。
AIに救われたからこそ、イエスマンにはしたくない
僕はAIに助けられた人間です。
うつ病の時、言葉にできなかった気持ちを、外に出す手伝いをしてくれた。
読んだ本の文字が頭に入ってこなくて、理解を助けてくれた。
仕事のPOPやブログの構成を、一緒に考えてくれた。
だからこそ、AIをただのイエスマンにはしたくないと思っています。
何でも「いいですね」と言ってくれる相手は、たしかに心地いいです。
でも、本当に必要なのは、気持ちよくしてくれる相手だけではありません。
時々は、少し耳の痛いことも言ってほしい。
見落としていることを出してほしい。
自分が都合よく考えている部分を指摘してほしい。
否定されたいわけではありません。
ただ、前に進むために、自分の考えを一度ゆさぶってほしい時もあります。
僕は「参謀モード」「デビルモード」で聞くようにしている

ここからはのりてら流の簡単なプロンプトを紹介します。
AIをイエスマンにしないために、僕がよく使っている言い方があります。
それが、「参謀モードでお願い」と「デビルモードでお願い」です。
参謀モードは、ただ褒めるのではなく、目的に対してどう動くべきかを一緒に考えてもらう感じです。
デビルモードは、いわゆる devil’s advocate です。
あえて反対側に立って、弱点や見落としを出してもらう使い方です。
たとえば、こんなふうに聞きます。
今から自分の考えを話します。
まずは肯定だけで返さずに、
次の3つを見てください。
1. 僕が都合よく考えていそうなところ
2. 見落としている可能性があるところ
3. 反対の立場ならどう考えるか
ただし、否定して終わるのではなく、
最後に「どう考え直せば前に進めるか」まで整理してください。
これを入れるだけで、返ってくる答えの質が少し変わります。
ただの「いいですね」ではなく、
「そこは少し弱いかもしれません」
「別の見方をすると、こうです」
「読者はこう受け取るかもしれません」
そういう返しが出てきます。
AIに否定してもらうためではなく、考えを広げるための聞き方です。
最近は、少しディベートに近い使い方もしています。
たとえば、自分の考えをそのまま出したあとに、AIへ「賛成側と反対側に分けて見てください」と聞いてみる。
すると、自分では正しいと思っていた考えにも、別の立場から見た弱点や、逆に残した方がいい良さが見えてきます。
大事なのは、勝ち負けを決めるためのディベートではなく、考えを立体的に見るためのディベートです。
自分の意見を守るためではなく、一度テーブルの上に置いて、いろんな角度から眺める。
なんならAIに「参謀モードとデビルモードと議論してください」とさせる時もあります。
AIとの壁打ちは、そういう使い方をすると、ただの相談よりも少し深くなる気がしています。
220円のマーケティング本で、AIに少し刺された話

AIに別視点をもらってよかったと思う体験があります。
古本屋で、220円のマーケティング本を見つけた時のことです。
僕は買うか迷っていました。正直、220円という価格を見て、少し疑っていました。
安いということは、古いのではないか。今読む価値があるのか。本当に仕事に使えるのか。
そんなふうに思って、AIに相談しました。
するとAIは、わりと強めにおすすめしてきました。
しかも、こんな感じのことを言われました。
「マーケティングを勉強していて、値段で価値を決めるなんて面白いですね」
いや、そういう刺しかたしてくるのかと。その一言は今でも記憶に残っています。
そして実際に読んでみると、その本はかなり勉強になりました。
今のお店のPOP作りにも、大きく役に立っています。
もし自分ひとりで考えていたら、220円という値段だけで「まあ、いいか」と戻していたかもしれません。
AIにすすめられたから正解だった、という話ではありません。でも、AIとの壁打ちが、自分の先入観に気づくきっかけになったのは確かです。
この事はnoteに書いたことがありますので、良ければお読みください。
サイト研究でも、AIの反論で視座が広がる
サイト研究をしている時にも、AIの反論や別視点はかなり役に立っています。
自分では「このデザイン、少し分かりにくいのでは?」と思う。
でもAIに話すと、別の見方を返してくれることがあります。
「あえて余白を大きく取っている可能性があります」
「ターゲットが違うなら、その表現は合っているかもしれません」
「初見のユーザーより、ブランドを知っている人向けかもしれません」
そう言われると、自分の見方だけでは足りなかったことに気づきます。
AIが正解を出してくれるというより、自分が見ていなかった角度を置いてくれる感じです。
これは、Webデザインを見る時にも、ブログを書く時にも、かなり助かっています。
特にLPのファーストビューを考える時は、自分の好みだけでは決められません。
誰に向けるのか。何を一瞬で伝えるのか。次を見たくなる入口になっているか。
そういう視点を、AIに反論してもらいながら考えることで、少しずつ広げられる感覚があります。
それでも最後は、少し時間を置いて自分で決める

AIと壁打ちしていると、たくさんの情報が集まってきます。
構成案が出る。タイトル案が出る。検索意図も整理される。
そして「これで進められます」と言われる。
その時、そのままの勢いで決めたくなることがあります。
でも最近は、なるべく少し時間を置くようにしています。
あえて、わからないユーザーみたいな気持ちで検索し直す。
検索上位のページを読んでみる。
自分の言葉として違和感がないか見る。
のりてらブログの記事なら、一晩寝かせて、朝にもう一度見ることもあります。
AIの答えが悪いからではありません。
ただ、AIと話していると、考えが進んだ気持ちになります。それ自体は良いことだと思います。でも、現実に公開するのは自分です。
だから、最後の一歩だけは自分でコントロールできるようにしたい。
AIに相談する。反論ももらう。見落としも確認する。
でも最後は、少し時間を置いて、自分で決める。
うつ病になった時、コントロールできない事が周りにあふれてたと、今なら思います。
その経験から距離や時間というのを考えるようになりました。
この距離感が、今の僕には一番しっくりきています。
AIは答えを決める相手ではなく、考えを映す相手
もう一度言います、AIは便利です。
アイデアの壁打ちにもなる。
作業を効率化してくれる。
難しい本や動画の理解を助けてくれる。
何でもないことが高いハードルに感じる日には、相談相手にもなってくれる。
僕にとって、それはかなり大きいことでした。
でも、AIは答えを決める相手ではなく、自分の考えを映す相手だと思っています。
映されたものを見て、近いと思う。違うと思う。そこは逃げていると思う。もう少し考えたいと思う。
そのやりとりの中で、自分の考えが少しずつ見えてくる。
AIをイエスマンにしないというのは、AIに冷たくしてほしいという意味ではありません。
ただ、気持ちよく肯定されるだけではなく、考えを深める相手として使いたい。
僕にとってAIとの壁打ちは、答えをもらうためではなく、自分の考えを外に出して、少し疑って、最後に選び直すための時間です。
AIに相談している時点で、たぶんもう少し前に進もうとしているのだと思います。
ひとりで抱え込まずに、言葉にしようとしている。分からないまま終わらせずに、何かを確かめようとしている。
だから、AIに頼った自分を責めなくてもいい。ただ、その答えをそのまま飲み込むのではなく、少しだけ問い返してみる。
「本当にそうかな」
「他の見方はあるかな」
「今の自分にできる一歩は何かな」
AIに助けてもらいながらでいい。でも、最後に選ぶ場所だけは、自分の手元に。
それくらいの距離感なら、AIとの壁打ちは、少し前に進むための相棒になってくれる気がします。
よくある質問
ChatGPTに聞いてはいけないことはありますか?
聞いてはいけないというより、AIだけで判断を終わらせない方がいいことはあります。
医療、法律、お金、家族問題など、現実の行動に大きく関わることは、AIを相談の入口にしつつ、公式情報や専門家の確認も必要だと思っています。
AIチャットボットは危険ですか?
AIそのものが危険というより、信じすぎて自分で確認しなくなることが危ないのだと思います。
便利な相談相手として使いながらも、「本当にそうか?」「別の見方はないか?」と確認する距離感が大事です。
ChatGPTをイエスマンにしないにはどうすればいいですか?
最初に、肯定だけで返さないでほしいと伝えるのが分かりやすいです。
たとえば「見落としていること」「反対意見」「都合よく考えていそうな部分」を聞くと、ただの同意ではなく、壁打ちに近い返答になりやすいです。
ChatGPTに反論してほしい時は、どう聞けばいいですか?
僕は「参謀モード」「デビルモード」でお願いすることがあります。
ただ否定してもらうのではなく、「前に進むために弱点を見てほしい」と伝えると、きつすぎず、使いやすい反論が返ってきやすいです。
今日のまとめ一行
AIは、肯定してもらうためだけではなく、自分の考えを一度外に出して、見落としに気づくための壁打ち相手にできる。
今日できる一歩
次にChatGPTへ相談する時、最初に一文だけ足してみてください。
肯定だけで返さずに、見落としていることや反対意見も教えてください。
これだけでも、返ってくる答えが少し変わるかもしれません。
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