0時前。机の上には、食べ終えたケーキの皿と、半分ほど減った日本酒の瓶があった。レシート、買い物袋、日記帳。今日の残骸が、妙にちゃんと並んでいる。
日記には、その日の出来事がところどころ乱れた字で残っていた。その中に、一行だけ妙にはっきり読める言葉があった。
「白Tは少し、透ける。」
「クーポンには気をつけよう。」
なんの教訓だ。
彼は日記を閉じたあと、グラスに残っていた日本酒をぐいっと飲み干した。「ふぅ」という小さな声が、部屋にやけに響いた。
電灯の紐を手に取る。布団に入る前、彼は小さくつぶやいた。
「ばからしいけど、これはこれであり」
どうしてこうなった。
そもそもの始まりは、一週間前だった。41歳の誕生日が近づいていた。予定はない。予約もない。誰かに「空けといて」と言われてもいない。カレンダーだけが、律儀に6月30日をこちらへ押し出してくる。
このままだと、普通に終わる。仕事をして、帰って、何かを食べて、スマホを見て、寝る。誕生日なのに、ただの平日として処理される未来がかなり見えていた。
それは嫌だった。だから僕は、一人の誕生日を楽しむために、かなり馬鹿らしい作戦を立てることにした。最終的にできあがったのが、「41歳誕生日ミッションのしおり」である。
41歳男性、自分の誕生日にしおりを作成。この時点で、だいぶ引き返せない。
前回の準備編はこちら。
一人の誕生日を楽しむ方法|41歳おじさんの誕生日ミッション準備編
作戦は単純だった。アウトレットで外に出るための支給品を探す。スーパー銭湯で回復する。甘いものか誕生日メシを確保する。そして最後に「ばからしいけど、これはこれであり」と思えたら成功。
この時点では、まだ平和だった。
ところが、作戦は当日ではなく、前日から少しずつ崩れ始めていた。
そして迎えた、誕生日当日。41歳誕生日ミッション実践編は、予定より少し重たい現実から始まる。
トラブル編|いきなり財布ピンチ
誕生日ミッションの前に、車の修理屋さんへ
誕生日当日。本来なら、僕は午前中からアウトレットへ向かって、爽やかな41歳が服を選んでいる。鏡を見ながら、「お、ちょっといいじゃん」みたいな顔をしている。
はずだった。
「ああ、これは修理が必要ですね」
現実の41歳のおじさんは、車の修理屋さんにいた。
誕生日の前日、通勤中に車の音が気になった。なんか大きい。なんか嫌な感じがする。車に詳しくない人間の診断は、だいたい「なんか」で構成されている。
でも、その「なんか」が怖かった。
というわけで、前日に修理屋さんへ連絡した。見てもらった時間は、誕生日当日の13時。お日様が眩しい頃だ。
午前中からアウトレットで浮かれるおじさんの図は、この時点で少しセピア色に染まった。
修理費6万円の見積もりを抱えてアウトレットへ

「修理すると……6万円くらいかかります」
詰んだ。頭の中では、ガラガラと予定が崩れる音がした。
まだ払っていないのに、もう少し貧しくなった気がする。現金は動いていない。なのに、脳内の家計簿だけが勝手に赤字を入力している。
しかも今日は、これから服を買いに行くのである。
そして奴が現れた。
「この状況で、まだ服を買うつもりか?」
財布上官だ。腕を組んで、目が笑っていない。
「……イエス、ボス」
そう、心の中で唱えながら、車はアウトレットモールの方向へ向かった。
正直、かなり凹んでいた。運転中、頭のどこかにずっと「6万円」がいた。BGMよりも、見積もり金額の方が音量大きめで流れている。
でも、こういうトラブル時に、動かないことの方が後悔することを知っていた。この話は、あとで少し心理学っぽく回収する。勢いというのは、時には大切なのだ。
41歳誕生日ミッションは中止にならなかった。支給品調達ミッションは、予定よりだいぶ重たい現実を背負ったまま始まった。
アウトレットモール編|誕生日ミッション1「今どきの服を入手せよ」

アウトレットモールに無事に着いた。だけど、メンタルはすでに生まれたての子鹿のように震えている。午前中から爽やかに服を選ぶはずだった41歳は、修理費6万円の見積もりを抱えたまま、なかなか買い物モードに入れなかった。
そんな時、あるポスターが目に留まった。
緊急サブクエスト発生である。

昭和・平成レトロ展という緊急サブクエスト

懐かしい看板、昔っぽい空気、妙に気になる展示。こちらは支給品を買いに来ただけなのに、過去が「ちょっと寄っていけ」と手招きしている気がした。
まず寄ったのは昭和レトロ展。

ふらふらと見回す。平日のせいか、人は全然いなかった。レコード、映画ポスター、当時の喫茶店、家の中の再現。僕は昭和60年生まれだが、物心ついた時には昭和は終わっていたので、逆に少し新鮮な気持ちになった。


その足で、次に平成レトロ展へ入った。こっちはガラケーや雑誌の展示、当時の部屋やカラオケが再現されていた。

懐かしさに足が止まる。
ブラウン管テレビ、カラオケのコードが書かれた分厚い本、白い歯が輝いている柳葉さんの笑顔。若い頃に、周りにあったものが、ここには展示品として並べられていた。

それを見て、少しだけ変な気持ちになった。懐かしい。たしかに懐かしい。でも同時に、「あれ、これってもう展示される側なんだ」とも思った。

自分の記憶の中では、まだそこまで昔ではない。でも、世間的にはもう立派なレトロらしい。誕生日ミッションのはずなのに、いきなり人生の年表を見せられている気分だった。

ただ、ここでずっと懐かしがっているわけにもいかない。
今日の任務は、過去に浸ることではない。
今必要なのは、レコードでも、ブラウン管テレビでも、ガラケーでもない。今の自分が外に出るための服である。
昭和・平成レトロ展を出て、僕はようやく買い物モードに入る。
ただいま令和。
よし、服を買おう。
服選び編|白Tは少し透けてた
よし、服を買おう。そう思って店に入ったものの、すぐに問題が発生した。
「今どきの服」がよくわからなかったのである。アウトレットには人気ブランドの服がたくさん並べられている。服。服。服。右を見ても服、左を見ても服。選べる自由が多すぎて、逆にどこから手をつければいいのかわからない。
その無数にある服の中から選ぶ。それだけで、おじさんにとっては至難の業に思えた。
「選択のパラドックスだ、ス◯ーク!」なんて脳内で大佐が言った気がした。
選択肢が多すぎると、人は逆に決めにくくなることがある。これが「選択のパラドックス」や「決定回避」に近い状態らしい。
そんなことを思い出している時点で、もう服選びから少し逃げている。孤独な現実逃避だった。
欲しかった黒色のパンツは、思ったより早く決まった。黒なら合わせやすい。少しきれいめに見える。今の自分でも使いやすそうだ。ここまではよかった。
問題は次だった。
白Tである。本当にそれだけで、たくさんの種類が目の前に並んでいる。白Tなんて白いTシャツだろう、と思っていた自分を殴りたい。厚み、形、首元、透け感、ロゴの有無。白Tの世界、意外と広い。
良さそうな商品を見つけ、勇気を出して店員さんに声をかける。試着をお願いするだけなのに、なぜか少し緊張する。知らない人に声をかけるのは、いくつになっても慣れない。
試着室に入り、着て、鏡で確認してみる。その第一声が、これだった。
「乳首……透けてる……」

今どきの服って透けるのが普通なのか。オシャレとはそういうことなのか。僕が知らないだけで、令和の白Tは情報開示型なのか。
狭い試着室の中が、透けるか透けないかの審査会場になった。鏡の前で、角度を変える。少し離れて見る。腕を上げる。照明の当たり方を確認する。何をしているんだ、自分。
もちろん、大事なことではある。白Tは爽やかさの象徴みたいな顔をしているが、一歩間違えると余計な情報まで連れてくる。清潔感を出したいのに、乳首が前線に出てきては困る。
呼んでない。
結局、その白Tはいったん戻した。そして、もう少し厚手で、ロゴがなくて、今の自分でも着やすそうなものを探した。白T一枚を選ぶだけで、こんなに精神力を使うとは思わなかった。
でも、探したらちゃんとあった。黒パンツに合いそうな、透けにくい白Tが。変に若作りでもなく、着てみると、さっきよりずっと安心感があった。そして学びを得た。
Tシャツは一度服の中に指を入れて、指がどれくらい見えるか確認する事。そんなしょうもない事を41歳の誕生日に学んだのであった。
白T問題、ひとまず突破。試着室の中で、僕は小さくうなずいた。
その流れで、ライトグレーの軽いジャケットも合わせてみた。黒パンツ、白T、ライトグレーのジャケット。鏡の前に立つと、思ったよりちゃんとしている。
「あれ、これなら飲み会くらい行けるのでは?」そんな気配が、少しだけ出た。
もちろん、服だけで会話力が上がるわけではない。ライトグレーのジャケットに、沈黙を埋める機能はついていない。そんな便利なジャケットなら、たぶん国が補助金を配っている。
それでも、服があるだけで外に出るハードルは少し下がる。「着る服がないからやめよう」という言い訳を、ひとつ潰せる。
黒パンツ、透けにくい白T、ライトグレーのジャケット。
誕生日ミッション1「今どきの服を入手せよ」は、かなり達成に近づいていた。
……ただし、服には値札がある。そしてとうとう、財布上官が立ち塞がった。
財布上官との対決

3着で、2万円を超えていた。
高い。
いや、服3着として見れば、特別ありえない金額ではないのかもしれない。むしろ、ちゃんとした服をそろえようと思えば、それくらいは普通なのかもしれない。
でも、今日の僕には朝の出来事がある。
車の修理費6万円。
あの数字が、まだ頭の片隅に居座っている。つまり今日は、服を買うかどうかの前に、すでに心の財布が一度死んでいる。そんな状態で迎える、2万円超えの会計予告。
「この状況で、買うつもりか?」
来たな、財布上官。
腕を組み、目が笑っていない。修理屋さんでも会ったが、ここではさらに存在感を強く感じた。さっきまで「今どきの服って何だろう」と悩んでいた僕も、この瞬間だけは一気に現実へ引き戻される。
これは浪費なのか。それとも、外に出るための投資なのか。
僕は試着室の前で、心の中の会議を始めた。
これは浪費なのか。いや、違う。これは外に出るための投資である。
合コンや飲み会に行けそうな服がほしいと思ったのも本音だし、今の自分が少しちゃんとして見える服を持っておきたいと思ったのも本音だ。40代になって、若作りはしたくない。でも、清潔感は整えておきたい。
それに、こういう服が一式あるだけで、「着る服がないからやめよう」という言い訳を一つ潰せる。
このへんで、僕は最近読んだ『影響力の武器』の話を思い出していた。
人は「理由」があると、少し納得しやすくなるらしい。つまり、「○○~なので」に少し弱い。それを自分に向けてみた。
「上官殿、本日はこちらの服を支給品として申請します」
「却下だ。車の修理代はどうする気だ」
「そうです、おっしゃる通り。ですが、これは単なる『高い服』ではありません。41歳になった私が『清潔感のあるおじさん』になるための衣装を買ったのです」
「なるほど、だがこんな値段のものでなくてもいいはずだ」
正論だった。ぐうの音も出ない。たしかに、清潔感のあるおじさんになるために、いきなり2万円超えの装備が必要なのかと言われると、声が小さくなる。
「……それは、そうです」
一度、負けかけた。
でも、ここで引くと、またいつもの未来が見えた。誰かと会う予定ができた時に、「着る服がない」「今の服だと微妙」「じゃあ、今回はいいか」となる未来だ。
これは未来予知ではない。再放送である。
だから、もう一度だけ食い下がった。
「上官殿、これは未来の合コン予定に備えるための装備です」
「予定はあるのか」
「……可能性はあります」
「可能性で2万円を動かすな」
「ですが、可能性が来た時に何も準備していないと、私はまた逃げます」
「む」
財布上官が、少しだけ黙った気がした。
服を買ったから人生が変わる、なんてことはない。でも、外に出るハードルを少し下げることはできるかもしれない。
「それに、今日は誕生日なので」
最後は雑だった。
脳内の財布上官は、かなり渋い顔をしていた。たぶん納得はしていない。でも、誕生日という言葉は少しだけ強い。普段なら却下される申請書の端に、なぜか「特例」のハンコが押されることがある。
この日の申請は、ギリギリ通った。
そしてレジの前に立つ。スマホアプリの表示がなぜか不安定だったが、会員バーコードは出ていたので、気にせず会計を進めた。
そして、『のりてらは今どきの服を手に入れた!』

無事、支給品調達ミッション成功。
財布上官との対決は、いちおう僕の勝ちだった。……いちおう。ほんの少し、目をそらしていた気もするけれど。
ただ、その小さな勝利に浸っていられた時間は、長くなかった。とうとう奴が裏切ったのだ。
会計を終えて店を出た時、スマホ画面にはこの文字が表示されていた。
『お誕生日クーポン 1,000円OFF・今日まで』
お誕生日クーポン事件簿
勝利BGMが止まった。
財布上官との激闘を終え、『今どきの服』を手に入れた。僕は袋を持って、少しだけ誇らしい気持ちで店を出た。少なくとも、その時点では「任務成功」だと思っていた。
しかし、スマホ画面にはこう表示されている。
『お誕生日クーポン 1,000円OFF・今日まで』
今か。今それを出すのか。
レジ前では表示が不安定だったくせに、会計が終わって店を出た瞬間、急に本気を出してきた。スマホ、やはりお前だったのか。最後に裏切るタイプの仲間だったか。
たかが1,000円。されど1,000円。しかも今日は、朝から修理費6万円の見積もりを聞いた日である。1,000円の輪郭が、いつもよりくっきり見える。
スマホから叫ぶ声が聞こえた気がした。
「のりてら!まだだっ!まだ、終わってないっ!」
やめろスマホ。リ○ッドかよ。
もう会計は終わっている。店員さんに言うのも恥ずかしい。そもそもクーポンを確認しなかった自分が悪い。頭の中に、戻らない理由がどんどん並んでいく。
いつもの僕なら、ここで諦めていた。ゲームオーバーってやつだ。
そして帰ってから、じわじわ後悔する。「あの時、聞くだけ聞けばよかったかな」と思いながら、1,000円OFFの画面を何度も見返す。誰に責められているわけでもないのに、自分で自分を小さく責める。そういう未来が、また見えていた。
これはまずい。
せっかく財布上官との対決に勝ったのに、ここでスマホに負けるのは悔しい。しかも、今日のテーマは「何もなかった日にしない」だ。ここで黙って帰ったら、日記にはこう書くことになる。
「クーポンに気づいたが、何もできなかった。」
弱い。あまりにも弱い。背景がグニャ~ってなる気がした。
とはいえ、いきなり店に戻る勇気はなかった。41歳の勇気は、時々かなり小容量である。
そこで僕は、汗がすごい手を動かしてAI参謀に応援を要求した。
「HQ!HQ!応答せよ!緊急事態だ!……これ、言ってもいいかな?」
返ってきた答えは、だいたいこうだった。
「焦りますよね!でも大丈夫、丁寧に聞くだけならあり!対応できるかは店次第。でも、聞かずに後悔するくらいなら、一度確認してみてもいい!」
こんな感じだった。(ちなみにこの時「な、なんかテンション高くね?」と困惑した。)
なるほど。言えば必ずなんとかなる、ではないけど。でも、聞くだけならできるかもしれない。
僕は袋を持ったまま、店に戻った。たぶん歩き方は少しぎこちなかった。先ほどまで勝利者だった男が、今度はクーポン画面を握りしめて戻ってきたのである。なんなら絶対迷惑だ。
もちろん店員さんに、できるだけ申し訳なさそうに伝えた。
「すみません、先ほど会計したんですけど、会計後に誕生日クーポンが表示されて……。もう難しいですかね?」
声は小さかったと思う。でも、言えた。
店員さんは確認してくれて、結果的に対応してもらえた。1,000円引きになった。しかも恥ずかしいけど誕生日ということも伝えると、「おめでとうございます」まで言ってもらえた。
(ご迷惑をおかけして申し訳ないです。あの時の店員さんありがとうございました!)
それでも、この日の僕にとっては、ただの1,000円引きではなかった。
戻れた。聞けた。恥ずかしかったけど、言えた。
財布上官が、ほんの少しだけうなずいた気がした。
1,000円引きよりも、聞いてみた自分に少し救われた。
こうして、お誕生日クーポン事件はなんとか解決した。袋の中には、黒パンツ、透けにくい白T、ライトグレーのジャケット。そして、少しだけ取り戻した1,000円。

誕生日ミッション1「今どきの服を入手せよ」。
今度こそ、任務完了である。
前編の心理学ライフハック|弱いままでも、足場があれば動ける
弱いままでも、行動の足場を作れば少し動ける。
今回の前編で残したいことは、弱いままでも、行動の足場を作れば少し動けるということだ。
車の修理費6万円を聞いた時点で、正直かなり凹んでいた。そこから服を選んで、財布上官と戦って、クーポン事件で店に戻る。文字にすると小さな話だけど、その時の僕にとっては、けっこう勇気がいる流れだった。
なぜ動けたのか。
たぶん、気合いがあったからではない。むしろ気合いはあまりなかった。メンタルは生まれたての子鹿だったし、財布上官はずっと怖い顔をしていた。
それでも動けたのは、先に小さな足場を作っていたからだと思う。
たとえば、前日に「誕生日ミッションのしおり」を作っていた。だから車の修理屋さんに行ったあとも、「今日はもういいか」で終わらずにアウトレットへ向かえた。
服を「支給品」と呼んだのもそうだ。普通に「2万円の服を買う」と思うと財布上官に処刑される。でも、「外に出るための装備を整える」と考えると、少しだけ意味が変わる。リフレーミングというやつを使った。
クーポン事件も同じだった。自分一人で考えていたら、たぶん諦めていた。でもAI参謀に「聞くだけ聞いてみてもいいか」を確認したことで、店に戻る足場ができた。
つまり、僕は強かったわけではない。弱いまま、足場を置いて、その上を一歩ずつ進んだだけだった。
これはたぶん、一人の誕生日だけの話ではないと思う。
やる気があるから動ける日もある。でも、やる気がない日、凹んでいる日、財布上官がうるさい日もある。そういう時は、気合いで突破しようとするより、先に行動しやすい形を作っておく方がいい。
- しおりを作る
- 名前を変える
- 誰かに聞く
- AIでもいいから、一度外に出す
それくらいでいい。
今回、僕は人生を変えたわけではない。手に入れたのは、黒パンツと、透けにくい白Tと、ライトグレーのジャケット。そして、なんとか取り戻した1,000円だ。
でも、店に戻れた。聞けた。恥ずかしかったけど、言えた。それだけで、十分だった。
前編のおわりに|誕生日ミッション1、完了
こうして、誕生日ミッション1「今どきの服を入手せよ」は完了した。
手に入れたのは、黒パンツ、透けにくい白T、ライトグレーのジャケット。そして、なんとか取り戻した1,000円。
書いてしまえば、それだけの話である。
でも、朝から車の修理費6万円を聞いて、メンタル子鹿のままアウトレットへ行き、白Tの透け問題と財布上官とクーポン事件を越えた41歳としては、わりと戦った方だと思う。
誕生日ミッション1「今どきの服を入手せよ」。
完了である。
ただし、任務はまだ終わっていない。
この記事で残したい4つのこと
1. 予定が崩れても、ミッションは中止にしなくていい
誕生日当日、いきなり車の修理費6万円の見積もりを聞いた。正直かなり凹んだ。でも、そこで帰らなかったから、この日の話は始まった。完璧なスタートじゃなくても、誕生日は進めていい。
2. 選べない時は、少し逃げ道を作ってもいい
アウトレットに着いてすぐ、僕は買い物モードに入れなかった。だから昭和・平成レトロ展に寄った。遠回りだったけど、その寄り道があったから、少し気持ちを立て直せた。すぐ本題に入れない日もある。
3. 服は、外に出るための装備になる
黒パンツ、透けにくい白T、ライトグレーのジャケット。服を買っただけで人生は変わらない。でも、「着る服がないからやめよう」という言い訳はひとつ減らせる。それは今の自分にとって、けっこう大きい。
4. 小さく聞けた経験は、意外と残る
クーポン事件で店に戻るのは恥ずかしかった。でも、聞けた。対応してもらえたこと以上に、「自分は一応、戻って確認できた」という事実が残った。1,000円引きよりも、聞いてみた自分に少し救われた。
次回予告|回復ポイントへ向かえ。そして、ケーキを確保せよ
買った服を抱えた僕は、次の目的地へ向かう。
スーパー銭湯「風の森」。そこで待っていたのは、サウナ3回、炭酸泉、夕暮れの外気浴。
そしてその後には、閉店前のシャトレーゼ、幻の瀧、カロリー警察、日記、そしてラスボス虚無が待っている。
41歳おじさんの誕生日ミッション後編。
次回、
「回復ポイントへ向かえ。そして、ケーキを確保せよ」
修理費6万円と、2万円超えの服と、少しだけ取り戻した1,000円を抱えて、誕生日ミッションはまだ続く。
一人の誕生日を楽しむ方法|41歳おじさんの誕生日ミッション実践編・後編
https://noritera-blog.com/birthday-mission2/



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