毎日サイトの研究をしていると、WebGLなどを使った、目を見張るような動きのサイトに出会うことがあります。
画面が切り替わるたびに要素が流れ、触れるたびに鮮やかな反応が返ってくる。
まるでゲームの世界に入り込んだような演出に、最初は素直に「すごいな」と圧倒されます。
技術も表現も、一昔前とは比べものにならないほど豊かになりました。
でも、ブラウザを閉じたあとに残る感想が、いつも前向きなものとは限りません。
「すごかった」
「きれいだった」
「面白かった」
感想はそこで止まってしまい、その先へ進めないことがありました。
「このサイトで、何を知ればよかったんだろう」
「次に、どこを見ればよかったんだろう」
そんな感覚が残るとき、僕は動きの素晴らしさよりも、どこか置き去りにされたような寂しさを感じてしまうのです。
前回、デザインが良くても問い合わせにつながらないサイトには、「相談前の足場」が必要ではないか、という話を共有しました。
今回はその続きです。
問い合わせという大きな一歩の、もっと手前。
ページを「読む途中」で迷わないための、小さな足場について考えてみたいと思います。
考えてみて気づいたのは、問題は動きの量そのものではない、ということでした。
「ここでは何が知れて、次はどこを見ればいいのか」
その道筋が見えないときに、人は置いてけぼりを感じて、疲れてしまうのだと思います。
今日は、動きの影に隠れてしまいがちな「次に進むための道しるべ」について書いてみました。

のりてらブログ運営者。LP・ブログ・発信の改善を現場で考えるWeb担当です。
きれいに見えるだけでなく、伝わる導線や、止まった日の立て直し方を、自分の失敗も含めて記録しています。
同じように迷う側に立ちながら、少し先で試したことを渡せる記事を目指しています。
動きが多いこと自体が悪いわけではありません
先に書いておきたいのですが、僕はアニメーションや演出そのものを悪者にしたいわけではありません。
動きがあるから空気感が伝わることもありますし、言葉だけでは届きにくい雰囲気を補えることもあります。


「動きが多いサイト=読みにくい」って、よく言われますよね。
でも、実際にはたくさん動いていても、スッと内容が入ってくるサイトもあります。
たとえば、言葉が全部は分からなくてもビジュアルの流れでストーリーが伝わってくるページ。
または、作品のようなおしゃれな見た目なのに、大きな文字とたっぷりの余白で、きちんと「読ませてくれる」ページ。
そういうサイトを見ていると、ユーザーが「置いてけぼり」になる感覚がすごく薄いんです。
自分が何をしている人なのか、
次はどこを見ればいいのか、
少しずつでも自然につかめるように設計されているからですね。
だから、問題の本質は「動きの量」だけじゃないんだと思います。
どんなに動いていてもスムーズに読めるサイトはあるし、反対に、全く動かない静かなサイトでも、なんだか入りにくいページってあります。
ここを「派手な動きはダメ!」と雑に片づけてしまうと、今回本当に考えたい「見やすさの正体」からズレてしまう気がしています。
本当にしんどいのは、「次に何を見ればいいか分からない」時でした

僕が何度も引っかかったのは、ここでした。
演出が前に出すぎて、読む・見る・選ぶがやりにくい。
その時、しんどかったのは映像や動きそのものより、このサイトで何を知れて、次にどこへ進めばいいのかが見えないことでした。
たとえば、最初の印象は強い。
スクロールも面白い。
でも、そのあとで迷います。
サービスの説明を見るべきなのか。
プランの違いを読むべきなのか。
実績や事例に行くべきなのか。
それとも、もうコンタクトしていいのか。

ここが見えないと、サイトを見ているというより、ずっと小さい判断をさせられている感じになります。
しかも、その判断に自信が持てません。
自分に関係ある情報に近づいているのか、それともただ流されているだけなのか、途中で分からなくなるからです。
正直、海外サイトを見ていて、英語が全部分かるわけではありません。
でも、言葉が分からなくても入っていけるサイトはありました。
だから今回の引っかかりは、英語力だけではないと思っています。
見終わったあとに
「なんだかイヤホン広告っぽい雰囲気だったな」
「世界観はすごかったな」
くらいしか記憶に残らないとき、僕は少し切ない気持ちになりました。
中身より先に、ページの尺だけが長く感じることもある。
その感覚は、作品を見たというより、入口が見つからないまま歩かされた感じに近いです。
その日、何本かサイトを見たあとで、机の上のメモ帳に引っかかったことを書き出しました。
たぶん今回の記事は、そこから始まっています。

この時のメモには、トップで入口が多いこと、コピーが抽象的すぎること、演出を増やして足場まで減っていないか、そんな言葉が並びました。
きれいなのに入りにくい。
その違和感を、自分なりの言葉でやっとつかめた瞬間だった気がします。
アトリログ15|15分だけ「このページで何が分かるか」を見直してみた

観察だけで終わると、ただの感想になってしまうので、ここで15分だけ戻りました。
今回は、自分のページではなく、引っかかったページを頭の中で分解するように見直しました。
最初の数分で確認したのは、このページのゴールは何かです。
商品を理解してほしいのか。
ブランドの空気を好きになってほしいのか。
待機リストに入ってほしいのか。
ここが最初に言葉としてつかめないと、その後の演出は全部きれいでも、受け取り手の中で散りやすいと感じました。
次に見たのは、ページ全体で取りたい連想語がぶれていないかです。
たとえば、集中、継続、静けさ。
こういう軸語が3つくらいに絞られていて、スクロールするごとに新しい意味や根拠が1つずつ積み上がるなら、世界観はむしろ強くなると思います。
でも、言葉も印象も広がりすぎると、見た人の頭には「なんか雰囲気がある」しか残らない。
ここは、かなり大きい差でした。
15分だけ見直してみて、少しだけ言葉になった。
僕が疲れていたのは、動くことそのものより、
『何を読めて、何を持ち帰れて、どこから入ればいいか』
が最後まで見えなかったことでした。
自分の現場に持ち帰るなら、演出より先に足場を置きたいです

ここから先は、自分へのメモでもあります。
サイトやブログ記事を設計するとき、どんな人が、どんな相談を、どの温度感で見て・コンタクトすればいいかを立ち止まって考えてほしい。
そのために、作品を見せるだけでなく、進め方や設計思想を積み上げて「ここなら任せられそう」という信頼を作れるようになりたい。
自分の案件に持ち帰るなら、たぶん僕は、世界観の言葉を絞って反復します。
ただし、同じ言葉を繰り返すだけでは弱い。
スクロールごとに、新しい意味、根拠、メリットを1つずつ増やしたいです。
1記事で伝えたい軸語も、2〜3個に絞った方がいい。
見出し、本文、締めで反復しながら、そのたびに具体例を足す。
そうすると、ただ雰囲気をなぞるのではなく、少しずつ理解が深まっていきます。
ここで、のりてらブログにもそのまま返ってきます。
僕がいちばん避けたいのは「かっこいいけど入りにくいブログ化」です。
トップで入口が多すぎる。
コピーが抽象的すぎる。
記事タイトルが詩的すぎて、中身が見えにくい。
演出は足したのに、足場が減る。
体験を書いたつもりが、小説っぽくなって学びが薄くなる。
この方向に寄ると、たぶん危険です。
僕は、もっと地味な基準を大切にしたいと思っています。
派手な動きはなくてもいい。その代わり、静かに、でも確実に伝わること。
突き放すような専門用語ではなく、やさしい言葉なのに、内容は決して薄くないこと。
読み終わったあとに、「あ、これなら自分にもできそう」と、少しだけ明日が動くような感覚。
効率やSEOを追いかけると、つい忘れてしまいそうになるけれど。
結局、僕が作りたいのは、そういう「体温の通った場所」なんだと思います。
正直に言えば、Awwwards(アワーズ)などで賞を取るような、圧倒的な世界観を持つサイトを見て嫉妬することも多いです。
あの華やかさ、あの「作品」としての完成度には、どうしたって目を奪われます。
でも、僕が突き詰めたいのはそこじゃない。
サイトを「作品」として完成させることではなく、サイトという道具を通して「伝えること」を突き詰めること。
派手な演出で圧倒するよりも、読み終わったあとの手の中に、小さなヒントが一つ残っている。
そんな「伝わる」の質を上げていくほうが、今の自分にも、そして読んでくれる人にも合っている気がしています。
まとめ

動きの多いWebサイトで本当にしんどいのは、演出の強さそのものではなく、
このサイトで何を知れて、次に何を見ればいいか分からないことでした。
見せ方が増えた今だからこそ、読む人は迷いやすくなっているのかもしれません。
だからこそ、世界観だけで押し切るのではなく、途中で立てる場所を置いておきたい。
入口、見出し、言葉の反復、次に進む理由。
そういう小さい足場の積み重ねが、最後のコンタクトや信頼につながるのだと思います。
僕も、すごいサイトを見ると今でも揺れます。
嫉妬することも、多いです。
でも今は、凄さをたすより先に、読んだ人が少し進めるかを考えたい。
サイトは、見せる場所でもあるけれど、進める場所でもあってほしいからです。
完璧に整ったページじゃなくても、大丈夫です。
読む人が一歩だけ前に出られる足場があれば、それはもう、ちゃんとやさしい設計だと思います。
今日のまとめ一行
人がサイトで疲れるのは、動きの多さより、「このサイトで何を知れて、次に何を見ればいいのか」が分からない時でした。
今日できる一歩
自分のトップページや記事を15分だけ見返して、「このページで分かること」を3つ書き出してみる。
次に読む一記事
デザインはいいのに問い合わせにつながらないサイトは、何が足りないのか
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