サイト研究というものを、半年前に始めました。
やることは単純で、一日一サイト見ること。
良かったところ、微妙だったところ、最後に感想を一言だけ残す。
それだけです。
半年続けたら、見たサイトは180を超えました。
その中で、ときどき「ん?」と指が止まることがあります。
写真もいい。
余白も整っている。
言葉も洗練されていて、ちゃんと世界観もある。
なのに、見終わったあとに「問い合わせてみよう」とはならない。
見た目が悪いわけではありません。
むしろ、その逆です。
きれいだからこそ、どこで相談しにくくなるのかが気になりました。
今回は、そんなサイトを見たときに、
自分がどこで引っかかったのかと、
自分ならどうするかを3つに絞って整理してみました。

この記事を書いた人
LP・ブログ・発信の改善を現場で考えるWeb担当として、半年前から一日一サイトの観察を続けています。見た目の良さだけでなく、「なぜ人が止まるのか」も記録しています。
きれいなのに相談しにくいサイトって、こういう感じ

ここで言う「きれいなのに相談しにくいサイト」は、『デザインが悪いサイト』のことではありません。
見た目はかなり整っている。
余白の取り方もうまい。
キャッチコピーもちゃんと考えられている。
ファーストビューを見た瞬間に、「お、いいな」と思う。
でも、スクロールしていくうちに、
「なんでこんな演出にしたんだろう?」
と指が止まることがあります。
とくに演出が凝ったサイトでは、自分のノートPCはスペックが低いのもあって、本当に止まることもあります……(笑)。
最後まで見れば、お問い合わせへの導線はある。
でも、何を相談していいのか、どこまで聞いていいのかが見えない。
「すごい」とは思うのに、
「お願いしてみたい」には変わらない。
たとえば、こんな感じです。

画像の左の例ですが、デザインは整っているし、悪くない。
むしろ、かなりきれいです。
でも、僕がユーザーだったら、ここには問い合わせしないと思う。
高級感が強いサイト。
作品の空気がきれいなサイト。
ミニマルで洗練されたサイト。
見た目は違っても、引っかかる時はどこか似ています。
一言で言うと、
サイトとしては魅力的なのに、自分が相談する理由が見えない。
今回引っかかったのは、そこでした。
「プロっぽいサイト」を目指すほど、人間くさい手触りが消えていく
きれいに整ったサイトは、見せ方としてやっぱり強いです。
写真の空気だけで「ちゃんとしてそう」と思わせる力があるし、余白や言葉の置き方だけで、値段まで高く見えることもある。
それはすごいことだと思います。
実際、サイト研究をしていても、世界観の作り方がうまいサイトには引き込まれる強さがありました。
高級レジデンス系なら、自然や静けさ、整った暮らしを「理想の生活」として見せてくる。
アパレル系なら、ブランドの空気やモデルの見せ方で「この服はこういう人のものです」と伝えてくる。
その強さは本物です。
でも、見終わると別のことが気になってきます。
他と何が違うんだろう。
何を頼めるんだろう。
どの段階でも相談していいんだろうか。
理想の演出が前に出るほど、見る側はどこかで現実の手がかりを探し始める。
そこが薄いと、いいなで止まりやすいじゃないかと感じました。

以前にギフトカタログをもらった時のことを思い出します。
見ているだけなら楽しい。
でも多くのページの中から、いざ選ぼうとすると「何が自分にとっていいの?」が分からなくなって、結局あと回しにしてしまいました。
あの感じに、少し近いです。
ECの仕事をしていた時も同じでした。
商品ページを見て、いいなと思って、買い物かごに入れるところまでは行く。
でも、そのまま買わないことがある。
サイズ感の判断がつかない。
他にもっといいものがないか探してしまう。
“今これを買う理由”はあるのに、“今ここで決める安心”が足りない。
欲しい気持ちはある。
でも、最後の一歩を決めるための判断材料がまだ足りない。
相談も、たぶん同じなんだと思います。
魅力的だからこそ、数字や流れ、他との違いみたいな少し地味な情報が効いてくる。
最初のズレは、そこにある気がしました。
導線があっても、相談前の足場がないと人は動けない

ここで言いたいのは、問い合わせボタンがあるだけでは、相談しやすさにはならないということです。
サイト研究をしていても、導線そのものはちゃんとあるサイトが多かったです。
ヘッダーにContactがある。
ページの最後にも問い合わせボタンがある。
見た目としては、別に不親切ではありません。
それでも相談しにくいことがある。
たぶん、見る側が探しているのはボタンそのものじゃない。
その前にある、
「この段階で聞いていい」と思える足場です。
まだ比較中でもいいのか。
まだうまく言葉にできていなくてもいいのか。
自分の相談はこのサイトの守備範囲に入っているのか。
そのへんが見えないと、導線があっても指はなかなか動きません。
前に、自分のブログのお問い合わせページもかなりシンプルにしていました。
最初は、入力欄があるだけだったんです。
でも今は、その上にこのフォームでできることを少しだけ載せています。
記事の感想でもいい。
制作や発信の相談でもいい。
まだ整理できていない段階でも大丈夫。
そう書くだけで、ページの空気が少し変わりました。
そのまま使える形で置くと、こんな感じです。
前に、仕事で初めて作ったLPの中間CTAでも、似たことがありました。
そのときは、ボタンを並べれば十分だと思っていたんです。
でも、今見返すと、あれは“選べる”だけで、“入りやすい”とは少し違っていました。
そのあと作ったLPでは、ボタンの前に足場になる言葉を増やしました。
たとえば、Googleクチコミ★4.8、全工事に最長20年の保証、相談だけ・他社見積比較もOKです。
派手な改善ではありません。
でも、こういう一言があるだけで、相談ボタンの重さはかなり変わる。
実際に作ってみて、その差を強く感じました。

ボタンを押す前に、
ここなら相談しても大丈夫そう
と思える理由が見える。
足場というのは、たぶんこういうことなんだと思います。
ほんの少しの違いです。
でも、その少しがないと、人はボタンの前で止まるんだと思います。
情報を削りすぎたサイトは、ただの「作品」になってしまう

お問い合わせボタンはあるのに、なぜか相談しにくい。
その理由は、足場のなさだけでなく、情報の削りすぎにもある気がしています。
余白があって、主役がはっきりしていて、空気まできれいに見える。
そんなノイズのない整ったサイトには、作り手としてやはり惹かれます。
こういう潔さには、普通に引っ張られます。
悔しいけど、好きです。
けれど、相談や依頼がゴールのサイトにおいて、削ることが常に正解になるとは限りません。
この人は何が得意なのか。
どんな相談に向いているのか。
どこまで頼んでいいのか。
どんな人に来てほしいのか。
こうした泥臭い頼む理由まで削ぎ落としてしまうと、世界観は美しくても、ただの「作品」になってしまい、相談にはつながりにくくなります。
もちろん、情報を絞ること自体が悪いわけではありません。
感覚が合う相手にだけ刺さればいいと、あえて説明を減らす。
つまり、「サイトがユーザーを選ぶデザイン」も、ひとつの正しい設計です。
ただ、広く相談を受けたいと思っているのに、削りすぎた結果としてサイトが人を選んでしまっているなら、そこにズレが生まれています。
削ることは大事です。
でも、削ること自体が来る人を選ぶ意思表示になる。
そこまで自覚しておくことが大事だと、現場で手を動かしながら感じています。
もし自分の現場なら、きれいさの前に「足場」を置く
ここまで書いてきて、じゃあ僕ならどうするか。
はじめに順番を少し変えます。
きれいに見せる前に、まず「足場」を置きます。
何を相談していいのか。
まだ決めきっていなくても大丈夫なのか。
今の段階で声をかけても変じゃないのか。
こういうことが一つでも見えるだけで、人はかなり動きやすくなります。
これはデザインの好みというより、人の心理に近いです。
人は、“分からないもの”より、“分かるもの”の方に近づきやすい。
さっき書いたギフトカタログの様に、
選択肢が多すぎたり、先が見えなかったりすると、それだけで疲れてしまいます。
心理学やマーケティングの世界でも、人は“得すること”より、“失敗しないこと”の方に強く反応しやすいと言われます。
だから、「相談したら良いことがある」と煽るより先に、「相談しても大丈夫そう」と思ってもらうことの方がずっと効果的なんです。
改めて、もし僕のサイト制作現場なら、たとえばこんな順番で足場を作ります。
- 入口の許可を出す
「まだ整理できていなくても大丈夫です」
「他社と比較中でも構いません」
そんな一文があるだけで、迷っている人はかなり入りやすくなります。 - 相談の温度感を伝える
いきなり依頼じゃなくていい。
まずは話を聞いてみたいだけでもいい。
そのくらいのゆるい空気感があるだけで、心理的なハードルはかなり下がります。 - CTAの前に安心を置く
返信の目安や、相談できる内容の例を添えます。
「送ったら何が起きるか」が少し見えるだけで、ボタンの重さはかなり変わります。
サイトのきれいさを作るのは、そのあとでも遅くありません。
むしろ、この足場があるからこそ、きれいなデザインがちゃんと機能する。
自分はそう思っています。

まとめ
今回あらためて感じたことを、4つに絞るとこうなります。
- きれいなサイトでも、相談しやすいとは限らない
写真や余白や世界観が整っていても、それだけで問い合わせにつながるわけではありませんでした。 - 理想の演出が強くなるほど、現実の手がかりが必要になる
見た目に惹かれるほど、何を頼めるのか、どこが違うのか、今の自分でも相談していいのかを知りたくなります。 - 導線の前には、相談するための足場がいる
ボタンがあるだけでは足りません。
「ここで聞いても大丈夫そうだ」と思える一言や空気が、やっぱり大事でした。 - 情報を削ることは、来る人を選ぶことでもある
それが意図的なら、ひとつの設計です。
でも、広く相談を受けたいのに、削りすぎた結果として人をこぼしているなら、そこにはズレがある気がします。
LP・ブログ・発信の改善を現場で考えるWeb担当として見ても、「きれいに整えること」と「人が動けること」は少し別物です。
勘違いしないでほしいのですが、見た目を整える力は大事です。
でも、その先には、
まだ迷っている人、
まだ言葉になっていない人、
まだ決めきれていない人がいる。
そこを受け止める設計がないと、どれだけきれいでも、サイトは途中で止まってしまうのかもしれません。
少しずつで大丈夫です。
大きく変えなくても、最初の一言を見直すだけで空気は変わると感じました。
もしLPや、HPのトップページのお問い合わせ導線を、考える時の参考になれば嬉しいです。
今日のまとめ一行
きれいなサイトでも、相談前の足場がなければ、人は動きにくい。
今日できる一歩
15分だけ使って、自分のサイトか好きなサイトを1つ開いてみてください。
そして、次の3つだけ見てみる。
- 何を相談していいか、書かれているか
- まだ決めていない人の居場所があるか
- CTAの前に、安心できる一言があるか
次に読む一記事
動きが多いサイトより、足場がないサイトの方がしんどい
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のりてらブログでは、LP・ブログ・発信の改善を現場で考えるWeb担当として、伝わり方や止まった日の立て直し方を、自分の失敗も含めて記録しています。
誰かのサンビタミンになれることを目指して、これからも少しずつ試していきます。


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